

益子林業のブログ
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赤松(地松)との出会い 2025.07.14
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もう30年近く前のことになりますが、地元那須地域の工務店様の社長が急に「これからは国産材100%の家づくりをすることに決めた。」と言い出したのです。
この社長は、創業者であり、決めたことは必ず実行する方でしたので、納材者としては正直不安でした。
一番ネックだったのは梁(平角)です。当時の平角は米松(グリーン材)が主流で、それに代わる国産材となると、杉、桧、唐松、赤松になります。
しかし、材成390㎜以上の材料となると、強度的、予算的に可能性があるのは、唐松か赤松になります。結果として、栃木県民になじみのある赤松(地松)を使うことになりました。
ただし、なじみがあるといってもそれはせいぜい末口24cm程度の小屋梁丸太で、材成300㎜以上が取れる大径木(末口38cm以上)ともなるとなかなか栃木県にはなかったのです。
当時、赤松(地松)の産地として有名だったのは、青森県、岩手県、福島県、長野県でしたが、弊社の立地と丸太の品質、値段から福島県の地松を仕入れることになりました。
地松の平角を扱うのは初めての経験でした。
挽いたばかりのズブ生状態では、杉よりも狂いは少ないのですが、乾燥が進むと、狂うは、割れるは、おまけにアオは入るはで、実に多額の授業料を支払いながら沢山の経験をさせて頂きました。
平角を製材する中で取れる側板は主に丁張用杭を作っていたのですが、節の少ない部位で何か造作材を取れないかと考え始めました。
トライしたのは、カウンター、敷台、階段踏板、玄関框、玄関巾木ですが、先程の狂い、割れ、アオがKD材の製品化を阻みます。
それでも出来た製品の美しさは格別で、私はまさに心を奪われたと言っても過言ではありませんでした。