

益子林業のブログ
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UNDER8の道のり その2 2025.07.11
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UNDER8発売から数年が過ぎた頃でした。
発売当初からその品質を認めて頂き、弊社を信頼して頂いている工務店様からのお電話でした。
「益子さん、引渡し前の社内検査で分かったことなんだけど、いつも使っている羽目板に縞縞模様が沢山あって、これじゃ引渡し出来ないよ。」という内容です。
早速現場へ飛んで行き、その光景を目の当たりにして唖然としました。
当然仕分けされているはずのステッカーマーク(乾燥時についてしまう桟の跡)がついた製品だけで現場の天井が施工されていたのです。担当者が誤ってB級品を出荷してしまったのでした。
当時の木材業界では、こういう時には自分の身を守るために様々な切り口でお客様を論破していきます。
例えば、「施工する前に言ってくれれば、いくらでも交換できたのに、貴社でも分かっていて施工したのだから、今更言われても何も出来ませんよ。」と言えば、責任逃れはできるでしょう。
しかし、私がUNDER8を作った動機の一つに、「そういう木材業界の体質に染まりたくなかった」ということがありますし、UNDER8のコンセプトを一言でいうと「信頼」ですから、あえて腹をくくりました。
工務店様には弊社の過失であること、そして、複数の現場を抱える工務店様にも安心して使って頂ける製品(企業)を目指している以上、今回の過失はとても重大であると認識している旨を伝え、全責任を弊社が取ることを伝えました。
最悪はお施主様が建て替えを要求するかもしれません。それでも弊社が全責任を取るということもお伝えしました。
もちろんそうなれば零細企業の弊社は存続できなくなります。
それでも「信頼」という何事にも代えられない私の人生哲学を変えることはできなかったからです。
結果として、その工務店の社長がお施主様に誠意をもって事情を説明してくださったおかげで、最悪の事態は回避することができました。
しかし、恐らくその工務店様が何のペナルティーも払わずに済んだとは到底思えません。
実に多大なご迷惑をお掛けしてしまいました。
私はこの2つの重大事件から、UNDER8を作ることは単に物理的なものづくりではなく、企業の品質を創ることだと肝に銘じ、一切の妥協無く製品づくりに取り組むことを胸に刻みました。
具体的には、社内勉強会を開催し社員の教育の場を設けること、間違えることのない乾燥の工程の仕組みを確立することです。
これによって発売から数年経ってやっとUNDER8が完成しました。今ではステッカーマークもほぼ出ない人工乾燥スケジュールも確立されています。