

益子林業のブログ
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体験型プレゼンツール 2025.10.1
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とちぎ八溝杉を製材・販売する益子林業です。
針葉樹の床板を製材販売していると、工務店様からセミナーの依頼をお受けすることがあります。
その場合、パワーポイントを作って説明させて頂くのですが、私は決して話が上手くないので3割ぐらいの方は居眠りを始められます(笑)
つまらない話をして申し訳ないという気持ちと焦りで、益々話がつまらなくなり自己嫌悪に陥ることになりますが、それでもご依頼があれば仕事なので頑張ってお受けします。
そんなことを繰り返していると、どうせやるなら自分自身も楽しくできないかと考えるようになり、なるべく話をせずに参加者に体験をして頂くことを思い付きました。
その一つをご紹介致します。
まず準備して頂くのは、無垢(杉)の床板、複合フローリング、、金槌、アイロン、ペットボトルに入れた水、タオルです。

一つ目の体験は、会場に同じ環境(温度)下に置いてある、杉の床板と複合フローリングを右手と左手の掌で同時に触れてもらいます。
複合フローリングの方が熱伝導率が高いので、杉の床に比べると冷たく感じます。この体験を通して、室内温度と体感温度の違いをご理解いただき、同じ室内温度でも使う素材で体感温度が違ってくることを理解して頂きます。
つぎに体験して頂くのは、体感温度が温かい素材ほど傷が付きやすいことを理解して頂く実験です。用意した杉の床板を金槌で強めに叩いてもらいます。すると写真のようにひどい凹み傷が出来ます。



ここで、杉は傷が付きやすいことをしっかりと理解して頂くことで、後々傷が原因でクレームに発展することが少なくなります。
ここで終了してしまうと、マイナスイメージしか残らないので、自力で補修できることを体験してもらいます。
3度目の体験は、アイロンを使って凹み傷を修復してもらうことです。ペットボトルに入った水を凹み傷に垂らします。その上にタオルを敷き、さらにその上から水を垂らします。その上からアイロンを高温で10秒ほど当てます。様子を見ながらこれを2回~3回繰り返します。




すると、完全には戻らなくても、明らかに凹み傷が修復されていることを確認して頂けます。
ここでの説明で重要なのは、金槌で強めに叩いて傷をつけたという事実を確認することです。併せて普段の生活では金槌を強めに叩くほどの衝撃は起こりづらいことを説明して下さい。そうすることで、傷が付きやすい杉でももし気になるようであれば自分で修復できるので、安心して頂けます。
プレゼンテーションが上手な方はこのことを話術で説明できるかもしれませんが、私と同じようにプレゼンが苦手な方はこの体験はとても有効です。何と言っても大した準備が必要ないことがメリットです。
ただし、私が重要だと思うのは針葉樹を使う場合、最終的に施主に選んでもらうということです。中には複合フローリングを好む方もいらっしゃいます。この方に無垢の針葉樹の床板を無理やり進めると、後々クレームになる確率が高くなると思っています。
私は温かい針葉樹の床板が、心の底から良いと思っています。それだけに多くの方に針葉樹の床板をお勧めしますが、お勧めするだけに止めています。
多様性を受け入れることもとても大切な事だと思っているからです。
最終的には施主に選んで頂く訳ですが、針葉樹の良さを知らないまま複合フローリングや堅木の床板を選ばれるケースも少なくないと思います。
建築家の皆様には、是非とも針葉樹の床板のプレゼンテーションも行って頂いた上で、施主に選んで頂けたら幸いです。










