

益子林業のブログ
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幅広一枚板 その1 2025.07.24
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とちぎ八溝材 製材・販売の益子林業です。
「幅広一枚板」と聞いてどのようなイメージをされますでしょうか。
文字通り、幅の広い、幅剥ぎしていない無垢の板ということになりますが、このような板の価値を見極めるのは難しいですよね。
どこぞの銘木店に足を運び、値段を聞いてもその値段が適正価格なのかどうかを見極めるのは難しいと思います。
今回は、その価値の根拠となるポイントを紹介していきます。
Point1:樹種(希少価値)
point2:樹齢(風格・幅の広さ)
point3:節の有無
point4:木目(杢目)
point5:素性(狂いの度合い・狂う可能性)
(次回ブログにて→)point6:乾燥度合い
(次回ブログにて→)point7:材長
(次回ブログにて→)point8:厚み
以上は、私の思いつくままに挙げてみたポイントです。優先順位の優劣はありませんが、point1~point5が木本来の価値なのに対し、point6以降は後天的な価値といえるでしょう。
point1の樹種一つとっても、普通の杉と日光の並木杉では希少価値やプレミア的価値が違います。
また、昔はよく輸入されていた南アジアの巨木も今では伐採禁止になっているとなると、どこぞの倉庫に仕舞ってあった一枚板などは当時の何倍もの値段になるでしょう。
秋田県の天然杉も現在は国有林でしか存在しないので、昔に比べると今の方が希少価値が高いです。
point2の樹齢は、板の幅に直結する要素です。
幅が広い板程、太い原木からしか採れないので樹齢は高いほど価値があります。
特にテーブルの天板に使用される板は最低でも幅800㎜は欲しいので、それに応じた樹齢が必要になります。
杉で考察すると、巾800㎜の節ありの一枚板が採れる原木の樹齢は300年は必要になるでしょう。
point3の節の有無は、見た目の問題もありますが、木の特性から見て希少価値としては圧倒的に無節の方が高い訳です。
木は芯に近いほど節が出安いですから、無節で幅広となると難度は一気に上がります。
杉で考察すると樹齢400年~500年は必要になります。
樹齢500年ともなると、とても希少価値が上がります。織田信長の時代ですから!
point4の木目(杢目)はその美しさや希少性で価値が決まります。
そもそも美しさに関しては好みがありますので一般的な感覚で価値が決まります。
希少性を考えると、杢目は価値が高いですね。
杢目に関しては正直私も良く存じ上げません。
樹種ごとに様々な杢が現れるので、広葉樹まで含めるとどれくらいの杢目が存在するのでしょうか。
ちなみに杉の笹目や欅の玉杢はよく耳にしますが、いずれにしても杢目の材になると取り扱うのは銘木店になります。
point5の素性を見極めるのはとても難しいです。
一見、素直そうに見える材木でも乾燥するほどに狂ってしまうことがありますし、木目が細かければ狂いにくいかといえばそうとも限りません。
正に経験だけがものを言う世界ですね。
どれだけ多くの一枚板を在庫してきたか、しかも、それを何年も寝かせて狂う度合いを観察してきたか。
その様な経験によって眼力が鍛えられます。
【point6:乾燥度合い~次回ブログにてお伝えします】